事業内容の説明

 

事業の目的

「宮城県震災復興計画」では,平成23年からの10年間の計画期間を「復旧期」、「再生期」、「発展期」の3期に区分し,被災者支援を中心に生活基盤や公共施設を復旧させる「復旧期」,直接の被災者だけでなく,震災の影響により生活・事業等に支障を来している方々への支援を更に充実していくとともに,宮城県の再生に向けたインフラ整備などを充実していく「再生期」、県勢の発展に向けて戦略的に取組を推進していく「発展期」を設定している。

本年度から再生期となる宮城県では、産業集積の促進、地元企業との取引拡大の支援等により、自動車産業を復興・再生の主力産業として振興を推進している。
東日本大震災は、東北に甚大な被害を与えたほか、サプライチェーンの寸断など自動車等ものづくり産業が抱える多くの課題を顕在化させた一方で、自動車産業の集積を加速させた。大手メーカーにより「国内生産の第3の拠点」としての位置付けが明示され、完成車年間生産50万台体制が整うなど、コンパクト車やハイブリッド車などの環境対応自動車の開発・生産拠点として戦略的に重要度を増してきている。

本事業は、電子化の進展する自動車及び宮城県の復興・再生の主力産業である自動車産業の中核を担う自動車組込み技術者の育成支援を行うことを目的とする。昨年度までの成果を活用して、社会人や就業1~3年目の技術者を対象とした 技術者育成講座の実施により技術者を育成するとともに次代を担う技術者育成のため、工業高校学生対象の自動車組込み技術基礎講座の実施と周辺知識・関連技術の教育プログラム開発・実証をとおして、すそ野の広い人材育成支援の取組を行う。産学官が連携し、宮城県自動車組込み産業のニーズに対応した自動車組込み技術者の育成を目指す。

 

 

前年度までの取組概要、成果と本年度との継続性

(平成23年度事業)
・取組概要
宮城県の自動車組込みエンジニア育成支援のため、産学官が連携し、教育カリキュラムおよび教材を開発し、検証のための講座を実施した。講座実施に当たっては、被災地以外の企業、専門学校の協力を得て実施した。

 

・事業成果
自動車組込みエンジニア育成テキスト、モデルベース開発テキスト、モデルベース開発指導書
自動車組込みエンジニア育成講座実施 20名参加、自動車組込み技術基礎講座 120名参加、教員研修会 5名参加

 

・本年度事業との継続性(成果の活用含む)
平成23年度プロジェクトは、検証講座を実施し、内容、時間数等の精査をした。本年度事業では、実証から講座実施を行い、宮城県の教育基盤整備と人材育成支援を推進する。 

 

(平成24年度事業)
・取組概要
平成23年度実施したプロジェクトで開発した教育カリキュラム、教材の応用レベルの教育プログラム開発と今後の宮城県の自動車組込み技術者育成のためのすそ野の広い人材育成支援を行った。産学官が連携し、社会人を対象とした自動車組込み技術講座の実施と工業高校学生を対象した自動車組込み基礎講座を実施し、教材等の実証を行った。講座実施においては、被災地以外の企業、専門学校の協力を得て実施した。


・事業成果
自動車産業の基礎知識テキスト、自動車組込み基礎講座テキスト、自動車組込み技術(ソフトウェア編)教材(演習データCD-ROM付属)、自動車組込み技術(ソフトウェア編)教材(演習データCD-ROM付属)
自動車組込み基礎講座  293名参加、自動車組込みエンジニア育成講座 18名参加
 
・本年度事業との継続性(成果の活用含む)
本年度事業では、平成23年度、平成24年度事業の成果物である教育教材を使用した講座を実施し、自動車組込みエンジニア育成支援を実践する。また、宮城県の産業が必要とする自動車組込み技術、周辺知識・技術の技術者育成支援のため教育カリキュラムを体系的にまとめるとともに、講座実施を行う。推進協議会において課題として挙げられていたすそ野の広い教育について、平成24年度に実施した基礎講座を継続するとともに拡大を目指す。これらの取り組みを通して、宮城県の自動車組込み技術者の育成を支援し、地域の復興を推進する。


(平成25年度事業)
・取組概要
 今後の東北地方自動車組込み産業における復興の戦力となる人材育成のための講座を産学官が連携し、開設・実施した。実施にあたり、平成23年度、24年度に実施した「東北の復興を担う自動車組込みエンジア育成支援プロジェクト」の成果を活用するとともに産学官による推進協議会において課題として挙げられている基礎力や周辺技術等の強化について教育カリキュラム・教材を開発し、実証のための講座を行った。裾野の広い宮城県の自動車組込み産業の人材育成支援を推進し、東北の復興を牽引する自動車産業の人材育成・供給基盤の強化を図る。講座実施において、他地域にある企業、専門学校等に協力支援を要請し、講師・実施体制等、講座の円滑な運営を図り、東北自動車産業界への人材育成を推進した。

 

 

・事業成果
【プログラム等の開発等の成果物】
(1)社会人教育プログラムの開発
・自動車組込みの社会人向け教育カリキュラム開発と演習問題
・自動車組込み技術テキスト(ハードウェア応用編)(データCD-ROM付属)
・自動車組込み技術テキスト(ソフトウェア基礎編)(データCD-ROM付属)
・自動車組込み技術テキスト(ソフトウェア応用編)(データCD-ROM付属)
(2)自動車CAD教育プログラムの開発
・講座カリキュラム
・自動車CAD テキスト
・自動車CADテキスト(講師用)

 

【実証講座】
(1) 「自動車組込み基礎講座」
参加者数:地元高校生 述べ 545名
(2) 「自動車組込み基礎講座」 
参加者数:工業高校教員 20名
(3)「自動車組込みエンジニア養成講座」 
参加者:社会人および高等専門学校、専門学校学生 20名
(4) 「自動車CAD講座」 
参加者数:社会人および高等専門学校、専門学校学生 17名


・本年度事業との継続性(成果の活用含む)
本年度事業では、平成23年度、平成24年度、平成25年度事業の成果物である教育教材を使用した講座を実施し、自動車組込み技術講座を実施する。また、宮城県の産業が必要とする自動車組込み技術、周辺知識・技術の技術者育成支援のため教育カリキュラムの開発・実証を行う。平成25年度実施した基礎講座を継続するとともに拡大を目指し、すそ野の広い技術者教育を推進する。これらの取り組みを通して、宮城県の自動車組込み技術者の育成を支援し、地域の復興・再生を推進する。


 

教育プログラム・教材の開発内容等

●自動車CAD応用技術教育プログラム開発
・自動車CAD応用講座カリキュラム
・自動車CAD応用テキスト
・自動車CAD応用指導書

 

●次世代自動車基礎技術教育プログラム開発
・次世代自動車教育カリキュラム開発
・次世代自動車教育教材開発
※次世代自動車・・・電気自動車、プラグインハイブリッド車等の自動車及び電子化やネットワーク化により、
             外部情報等の連携を行うシステムを搭載し、スマートグリッドやスマートシティ等で
             エネルギーマネジメントシステムの一部を担う自動車。


 

地域の人材ニーズの状況、事業の必要性等

 宮城県のものづくり産業は,沿岸部を中心に甚大な被害を受け、また、産業集積の中核をなす自動車関連産業や高度電子機械産業においては,地震による直接的被害とサプライチェーンの分断や震災以前の取引関係の維持することが懸念されていた。しかしながら、行政の支援、大手自動車メーカーの支援、企業自身の努力により震災から1年の短期間のうちに急速に回復し、生産体制を震災以前の水準に戻しつつある。宮城県では、自動車産業を復興に向けた中心的な産業として位置づけ、産業の振興支援や自動車関連企業の更なる誘致を展開している。次代を担う新たな産業の集積・振興等を図り,地域特性を活かしたものづくり産業のグランドデザインを再構築し、震災からの復興・再生が進められている。
 
 東北の自動車産業は、コンパクト車やハイブリッド車など環境対応自動車の開発・生産拠点として、産業の構築を展開している。特にハイブリッド車においては、ガソリンエンジンと電気モータを電子制御により効率よく使用することでCo2 の排出を低減するなど電子化が進展し、自動車組込み技術は、環境対応や安全性を確保する重要な技術となっている。
 
 今後、東北地域の復興・再生、産業の維持発展においては、進出企業への人材の供給(人材育成基盤の整備、高度人材の育成)と地元企業と進出企業の取引拡大が課題である。東北へ進出した企業は、ハイブリッド車の電子制御に対応した組込み技術を有する人材を求めており、このニーズに対応した人材の育成が急務である。また、宮城県では進出した自動車関連企業が発展する段階での人材供給を円滑に進めるため、自動車産業へ就業を希望する人材育成を推進する必要がある。さらに、進出企業と地元企業との取引拡大により、地域産業の活性化を図り、復興・再生につなげることが重要であり、そのために地元企業の取引拡大に伴う体制の構築と高度な技術を持った人材を育成することが重要である。自動車組込み技術者の育成及び東北地域の産業界への人材供給体制の整備が必要であり、重要である。

 

●調査
 ・電気自動車、ハイブリッド車等の次世代自動車の技術調査
 目的    :電気自動車、ハイブリッド車等の次世代自動車に使われている技術および
         スマートシティ等における次世代自動車の役割や環境対応システムを調査し、 
         今後必要とされる自動車組込み技術者の技術を明らかにする。
         開発する次世代自動車基礎技術教育プログラム開発に活用する。
 対象、規模:・視察調査  国内スマートシティ実証地域(北九州、愛知県、けいはんな地区等を想定) 
         ・文献調査  海外での次世代自動車技術調査
 時期    :平成26年8月~11月 
 手法    :現地視察調査、文献調査
 実施方法 :開発分科会委員 4名による視察調査を実施
         調査分科会委員による文献調査
         ※調査・分析は報告書として取りまとめる。

 

実証講座等の内容

●自動車組込み基礎講座
裾野の広い自動車組込みエンジニアの育成のための基礎講座を行い、東北地域の復興に向けた自動車組込み産業の次代を担う人材育成基盤の強化を図る。
・受講者:高等学校学生 各20名程度 総数240名程度
・講座開催地:本校および宮城県および近隣県内の工業高校 計12箇所程度
・講座時間数:3時間×1日間(18回程度)
・開設時期:平成26年8月~平成27年1
・講師:協力専門学校・企業から講師を派遣し実施する。
※一般公募 2回程度、工業高校への出張講座 16回程度

 

●自動車組込み基礎技術教員研修会
裾野の広い自動車組込みエンジニアの育成のため、高等学校において継続的に講座を実施するために指導者育成を行う。
・受講者:高等学校教員 20名程度
・講座開催地:本校(宮城県)
・講座時間数:4時間×1日間(2回程度)
・開設時期:平成26年10月
・講師:協力専門学校・企業から講師を派遣し実施する。

 

●自動車組込みエンジニア養成講座
自動車組込みの技術書を要請する講座を行う。平成23年度、平成24年度、平成25年度の内容を含んだものとし、応用、実践の技術レベルの修得を目指す。
※社会人、就業者の参加を促進するため、講座の実施時間、曜日等を考慮して実施をする。
・受講者:求職者、就業者等の社会人および高等専門学校、専門学校学生 20名程度
・講座開催地:本校(宮城県)
・講座時間数:自動車組込み実践講座 (5時間×6日 30時間程度)
FPGAプログラム講座 (5時間×6日 30時間程度)
・開設時期:平成26年10月~平成26年12月
・講師:協力専門学校・企業から講師を派遣し実施する。

 

●自動車CAD基礎講座
裾野の広い自動車組込みエンジニアの育成のため、周辺知識・技術の基礎講座を行い、東北地域の復興に向けた自動車産業の次代を担う人材育成基盤の強化を図る。
・受講者:高等学校学生  20名程度
・講座開催地:本校(宮城県)
・講座時間数:6時間×1日間(3回程度)
・開設時期:平成25年12月
・講師:協力専門学校・企業から講師を派遣し実施する。

 

●自動車CAD応用講座
裾野の広い自動車組込みエンジニアの育成のため、周辺知識・技術の基礎講座を行い、東北地域の復興に向けた自動車産業の次代を担う人材育成基盤の強化を図る。
・受講者:高等学校学生  20名程度
・講座開催地:本校(宮城県)
・講座時間数:6時間×1日間(3回程度)
・開設時期:平成25年12月
・講師:協力専門学校・企業から講師を派遣し実施する。

 

●次世代自動車基礎講座
電気自動車、ハイブリッド車等の次世代自動車に使われている技術およびスマートシティ等における次世代自動車の役割や環境対応システムの知識・技術を学習する講座を実施し、開発する次世代自動車基礎技術教育プログラム検証を行う。
・受講者:社会人および高等専門学校、専門学校学生、高等学校学生  20名程度
・講座開催地:本校(宮城県)
・講座時間数:6時間×1日間(2回程度)
・開設時期:平成27年1月
・講師:協力専門学校・企業から講師を派遣し実施する。

 

 

成果の普及・平成27年度以降の事業展開の予定(自校・他校・企業・団体・地域との関係)

(事業成果物)※本事業により作成等される成果物について、個別に列記すること
①自動車組込み基礎講座テキスト(50頁、1300部)
②自動車CAD応用講座テキスト(100頁、700部)
③自動車CAD応用講座指導書(100頁、600部)
④次世代自動車基礎教材(CD-ROM付属)(150頁、700部)
⑤事業報告書(80頁、600部)

 

(成果の活用等)※上記成果物の活用方法等について、個別に列記すること
①成果の周知のため、データをHPで公開、情報系専門学校200校および組込み関連企業400社へ郵送配布
本年度、自動車組込み基礎講座、自動車組込み基礎技術教員研修会テキストとして活用する。
平成27年度以降、すそ野の広い自動車技術教育のため工業高校の教育に活用する。
高等学校教員の技術教育に活用する。
初級者等の社会人講座実施に活用する。
②成果の周知のため、データをHPで公開、情報系専門学校200校および組込み関連企業400社へ郵送配布
平成27年度以降の本校 正規課程の教育教材として活用する。
平成27年度以降、すそ野の広い自動車技術教育のため講座実施に活用する。
協力専門学校等の正規課程の教育への導入を支援・促進する。
③成果の周知のため、データをHPで公開、情報系専門学校200校および組込み関連企業400社へ郵送配布
平成27年度以降の本校 教員研修に活用する。
平成27年度以降地域の企業の協力のもと、社員研修等に活用を検討する。
関連団体・協会等の協力のもと、専門学校の教員研修に活用する。
④成果の周知のため、データをHPで公開、情報系専門学校200校および組込み関連企業400社へ郵送配布
平成27年度以降の本校 正規課程の教育教材として活用する。
平成27年度以降、社会人対象の自動車技術教育のため講座実施に活用する。
⑤成果の周知のため、データをHPで公開、情報系専門学校200校および組込み関連企業400社へ郵送配布