平成27年度「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」事業

岡山県をモデルとした中核的デニム・ジーンズクリエイター地域版
学び直し教育プログラム開発と実証

実証講座

海外デニム・ジーンズ生産地調査報告書


目  的:世界的な評価が出てきているトルコのデニム産業並びに、東西の交流地点であるイスタンブールの
     ファッション状況と企業と教育機関の専門学校の取り組み例を視察し今後の地域の産業と人材育
     成の在り方を世界的な目線で考える。
訪問先:トルコデニムテキスタイル企業ISKO、デニム加工企業、デニムブランド企業、
    ファッション専門学校、デザイン事務所等
視  察:大型SC 高級ブランド品SC、デニム専門店 
参加者 :平田 眞一、田口 一子、吉村 恒夫、馬野 信吾
日  程:10月31日 関西空港発
     11月1日 イスタンブール着 
     到着後市内市場調査、大型ショッピングモール CEVAHIRなど市内店舗視察
11月2日 SANKO社ISKO Division訪問 イスタンブールより片道3時間ブルサ近郊
       (Organize Sanayi Boigesi Cadde 16400 inegol-Bursa /TURKEY)
11月3日 午前イスタンブール ファッションアカデミー訪問 
     午後CAK GROUP LITTLE BIG訪問 
        (Gunsli Mimar Sinan Cad.NO3 Bagcil Istanbul TURKEY)
11月4日 午前ISKO Creative ROOM 訪問 
       (Asmalimescit Cad no:16 beyoglu-Istanbul/TURKYE)
     午後 市内ジーンズショップ、ショッピングモール視察
     深夜イスタンブール出発
11月5日 関西空港着

視察内容:11月2日 ISKO本社訪問 

Fatih KONUKOGLU社長始め 副社長、執行役員、マーケッテング役員、セールス役員など10名近い方々に歓迎された。
ISKOJAPAN 山崎取締役、岡山事務所の片山氏も同行。
ISKOは年間3億メートル生産し、開発商品25,000点がストックされている世界でNO1のデニムメーカである。(日本のカイハラは年間5000万メートル程度)従業員は4000人、本社400人工場3500人 開発部門12名 2か所(イタリア・イスタンブール)がある。デニムを手掛けて15年 紡績からロープ染色一貫工場 色のコントロールは36色の色分けの基準としている。
工場は日本の「カイゼン」計画を取り入れており、品質管理も徹底されていた。
また在庫の倉庫管理もオートメーション化が進んでおり、世界で一番の施設と自負していた。
ISOKはトルコのSANKO財閥の一つであり。世界の30か所に事務所を設け 販売先は100か国 
ここ数年ストレッチ素材では業界の中のけん引役となっている。
2年ほど前から始めた世界のファッション専門学校とのジョイント企画は17校になってきた。
また世界からインターシップ生を企業の中にも取り入れ産学協力体制をISKOブランド化の戦略の一つとして取り入れている。
ショールーム:商品説明、質疑応答過去の生地から作られた製品が多数並び、コンセプト別に置かれている。
       会社の紹介をするDVD施設、デニムの味わいある什器、インテリアで構成され商談・会議が
       できる大きな施設であった。
工場見学:紡績から 染色 織布 仕上げ 検品 倉庫での管理の流れを見せてもらう
     工場各所に日本のトヨタ方式の“ KAIZENN 5S ” を掲げ整理整頓がきちんされた、
     大変きれいな工場内部であった。
     品質の向上また効率化の中でコンピユーターでの管理が徹底されていた。
     特に驚いたのは、職布部門では2階建ての建物の上階で、職布そのまま階下で検品並びに
     ビームに巻き取るスピード・合理化のアイデアは社長のデザインとの事であった。
マーケッテング部門:パワーポイントにて会社紹介。マーケッテング部門の活動・ブランドの紹介をうける。
加工工場見学:同じ工業団内にある提携工場の見学イタリア資本の加工工場見学
       前処理、サンドブラスト薬品での加工、レザー加工も最新のものまで見せてもらう
       ちなみにこの工場はイタリアで岡山の豊和(株)から技術協力を受けていた会社であった。
       加工に関しては児島の企業のレベルは世界的な評価があると言える。
                

ISKOメンバーと記念写真

ISKO工場全景(社長室より)

11月3日 イスタンブール市内 IAD ISTANBUL MODA AKADA AKADEMISI
ISKOのデザイナーはこの卒業生であつた。ISKOからはデニム教材を提供している
        
ISTANBUL MODA AKADA AKADEMISIは原宿、銀座にちかい環境の中、生徒数300人コースはマスター2年間とショートの夜間があり50%が高校卒業後入学、学校ができて、10年卒業生9人が活躍、中にはイスタンブールコレクション(5年前からベンツサポート)にでるデザイナーを育てた。
海外からの留学生もいてカリキュラムは、パターンアカデミックコースはイギリスの学校と提携。授業内容も共有化。優秀な学生は卒業後もコレクション等のサポートも行う。壁面には業界の年間スケジュールが記載され生徒に目標を持たせる事がわかりやすく掲載されていた。

学校前にて
 縫製。パターンデザイン実技を見せてもらう。
 図書室、材料室、3Dプリンター、スワロスキー社からの高価な材料提供も受けていた。
 授業料は年間100万円。イスタンブールには専門学校3校、エスモード等あり。
 6人の専任教授と夜間はフリーランスの先生が教えている。

11月3日 LITTLE BIG 訪問
Fatih Cakoglu 氏と妹に話を伺う。 イスタンブール郊外、本社工場の他100km先に大きな工場があり直営店舗もあり。 ジーンズの他トップス等製品仕入れ、海外での販売も行いはじめた。 東京の新宿にPOPショップ展開計画中、BEEMSのOEMも行っているようだ。 トルコのジーンズブランドの中で代表的なブランドであった。 企画の人材は、世界から集めている東京の桑沢デザイン専門学校の卒業生も一時期いたようだ。 デザイン室、裁断、縫製、サンプルは年配の男性が多く働く、施設内にスタジオがある。ここから直営店に向けてビデオ.音楽等流していた。
LTD本社インターネット放送局
併設直営店:ライトオン風アメリカカジュアルジーンズプライス。 3000年から4000円前後のボリューム       ゾーンブランドだった。

11月4日 ISKO イスタンブールデザイン事務所Creative .ROOM訪問。 EMRE SELCUK氏に話を伺う。デザイナー2名、マーケッテング担当4名。 おしゃれな趣のある建屋の中2年前に開設。世界各地からサンプル購入。 1回100万円年6回、日本のキャピタルの商品が多数コレクションされていた。 その他2人の契約者がデニム関連を世界から情報を集める事もしているとの事、情報が多数集めていることが理解できた。

デザインルームにて記念写真

11月4日 市場調査 世界的にデニムブランドとして出てきたMAVI SHOP視察
サンプル購入ESOK社の新しい素材を使ったスパーストレッチのハイライズ スパースキニー、ソフトでライトオンス。伸び率20%? デザイン、縫製仕様、付属関係もレベル高い商品であった170TRは(6800円代)は競争力があると思う。 高級なSC、デーゼル30000円~40000円、カルバンクラインジーンズは359RTGAP179TR。 また高級百貨店のセレクト部門では、Jブランドではレザー風加工のブラックは10万円近い商品も並ぶ。カジュアル部門では、AEROPOSTAL等では59.59TRも目立つ。SCの万中ではアップルストアーが大きなスペースの2階府ロガーが印象的であった。
ショッピングモール内セレクトショップ
 VITONをはじめとするスーパーブランドがほとんど全て大きなフロアーでの展開をしていた。

(資料)
「トルコの繊維産業の現状と将来展望」
ジェトロイスタンブール 事務所 中島俊博氏レポート2006年抜粋
1 中国製品に奪われる市場ㇱエア2005年にWTOが繊維製品の輸入割当制度を撤廃して中国製品に
  浸食され続けられている
  トルコの繊維産業は、世界市場での生き残りを賭け生産コストの削減や高付加価値化、
  ブランド化など新たな戦略の必要に迫られている。
  繊維製品の輸出は輸出総額の25.9%を占め 繊維産業はGDPの7,5%工業生産の全体の19,9%
  製造業の雇用の23.9%を占めている。アパレル輸出ではアパレル輸出では世界第4位EU向け第2位)
  テキスタイルでは第10位EU向け(同2位である)。
  競合で対米輸出が減少05年 
  WTOは05年1月からは中国などの繊維大国と自由競争となった。
  05年の繊維製品輸出は7,3%UP7億5080万ドル繊維製品65%がEU向け。今後は
  ロシアに注目している。
  価格競争を脱し、高付加価値化を目指す
  トルコの繊維業界は、欧州の業界を見習い、最新鋭の設備の投入、技術革新、デザイナーの育成、
  国際見本市における宣伝活動を通じてトルコ製品の高品質化、高価格化を図りたい意向政府も
  貿易庁主導で「テュルクオリテ―」政策が打ち出され認証制度をもうけた。
2 コスト削減に向けて周辺諸国へ生産拠点を移転
  1980年約30億ドルの輸出が 2005年 7312億ドルと25年間で243倍となり
  トルコの基幹産業となった。製品化も1880億ドルとなった。
  要因は原材料からファスナー付属まですべて国内でできあらゆるデザインファッション性に対応できる。
  若手の勤勉な労働力が豊富。ほぼ繊維企業がISO 9001ISO9002を取得国際的な品質基準に
  適合している。
  欧州への陸上運送6日から、海上運送でも10日から㏪の納品ができる。
  中国からの輸出の半分である、人件費の高騰、労働生産性の低下
  電気関係自動車産業が設備投資をして効率化を図り生産性があがり
  繊維関連の生産性が低下エネルギー価格と原材料の輸入依存もコスト削減のネックトルコは
  世界第6位の綿花生産国国内での供給ができていない米国からの輸入に頼っている。
  合繊関係も30%から40%輸入をしている。

●国際的に認められつつあるトルコ産デニム
●テキスタイルでは04年の綿織物生産が前年比4.4%増の19億4600万m
 化学繊維織物が4.0%増の6億4210万m、毛織物が3.1%増の5740万mだった。
 こうした織物生産はイスタンブール、ブルサ、アダナ、カフラマンマラシュ、カズィアンテプ,
 デニズリ、イズミル、テキルダァ、カイセリ、ウシャク各県で行われている。
 環境規格である「エコテックも企画100」も取得している企業も多い。
●綿織物生産の訳30%はデニムが占める。
 マーヴィ(Mavi)リトルビッグ(LITTLEBIG)コリンズ(Collins)等、トルコジーンズ・ブランドの
 国際的な知名度が上がるとともに、トルコ産のデニムの質の良さも認められるようになってきた。
 05年度のジーンズ輸出は衣料品全体の28%を占め、前年比28%増と他の衣料品を凌ぐ好調ぶりを見せ
 ている。
 デニム生産ではサンコ財閥の傘下のイスコ(ISKO)が有名で、トルコ製造業のトップ500(ISO500)
 でも第79位に入っている。
●トルコの工業用ミシンはほぼ100%輸入されており、輸入相手では日本が3割を占めている2位は中国、
 3位はドイツでこの3カ国からの輸入が全体の7割を占めるトルコ統計機構(TUIK)。
 品質を重要する大手アパレル工場では日本製のミシンの評価が高く、低価格が売り物の中国製品と
 都は顧客層が分かれている。
 ブラザーの江口所長はトルコ産は中国やインドといった縫製業の盛んな国と比べてコストが
 高く、価格以外で競争力をつけることが重要になってきている。
 具体的には縫製の良さ、少量多品種対応、短納期、ブランド力(デザイン)構築であり、
 日本メーカーはこれらの需要に合致した製品やサービスを提供することで今後もシェアしていく。
 トルコにはブラザーの他 現在JUKIが駐在事務所を置いている。

最新情報 イスタンブール繊維。衣料品輸出組合ITKIB HOより
Turkish Clothing industry exported a total value of 15.7 billion us$in 2011
There are more than 29,000 clothing manufactures in Turkey.
Total Export (1000$)134,954,362 Textile Export(1000$) 7,709,701
2011 Annual Textile Export of Turkey Share of Textile in Total export 5.7%
ロシア13% イタリア10.1% ドイツ5.9% 英国3.8% ポーランド3.7%
ルーマニア3.7% 米国3.1% ベルギー3.1% エジプト2.7% 10か国53.4%

●日本のデニム生産量 倉敷ファッションセンター2013年 報告書(松本専務著)
デニム生地(推定)
デニム生地 世界生産総量(年間)25億yd 1yd=0.9144m
➡ ジーンズ 20億本(相当)
主要生産国(海外)イスコ(トルコ)    2億yd
     中国    3~4億yd
   (国内)クラボウ ※世界    3000万yd
    日清紡     1500万yd
   カイハラ     4200万yd

※デニム生地、ジーンズ生産数の正確な数字は把握出来ていないのが現状
本数に関しては現在23億本には達していると思われている。デニム生地に換算すると約30億メートル
と思われる。yd換算では32.69万Ydとなる。
その根拠はデニム産業が年間3%のUpが続いていると思われる。
上記のデーターがそれぞれの3年から5年前のものであるとすると30億mが近いものと思われる。
以上の数字を今回訪問したISKOブランドは 年間生産3億mであるとの事からすれば 市場の10%の占有率である。

(所感)
短期間でのトルコ視察であったが、評価が出ているトルコデニムの実態を理解し
また世界的な目線での状況視察ができた事に感謝します。
国内での産地のもの作りの在り方・マーケティング思考の重要性、
そして(人材育成)教育と産業の双方向の協力体制がスピードを持って対応しない限り
世界的な戦いには勝てないのではないかと改めて感じました。


産地コラボレーション

目  的:本校及び久留米大学学生を対象としたデニム・ジーンズ産地と久留米絣産地のコラボレーション演習を実施する。 学生がチームを組んで企画提案をまとめる。 産地コラボレーションのモノづくり現場力養成について有効性について実証し、人材養成に活用する。
久留米産地実施:2015年10月23日(金)、24日(土)
岡山産地実施 :2015年11月6日(金)、7日(土)
        2015年11月20日(金)
参加数    :中国デザイン専門学校 学生22名(1年、2年、社会人)
        久留米大学文学部 学生17名(3回生、4回生・うち留学生3名)
        (引率教員:中国デザイン専門学校4名、久留米大学2名)
スケジュール
  10月23日(金)久留米
時間 内容 講師
11:30 12:30 13:10 石橋文化センター到着
・プログラム①久留米の芸術に触れる
高良大社 筑前一の宮
・久留米を一望し、土地の特徴をつかむ。
13:10 昼休
14:10

15:20
プログラム②講義
「プロジェクト概要・企画づくり」
久留米大学御井学舎100号館131教室)
江藤智佐子
15:30

16:20
プログラム③フィールドワーク
「久留米絣の歴史と工程を調べる」
(久留米絣資料館)
・機織り体験、資料館調査
江藤智佐子
17:00

18:30
プログラム④演習
「調査結果のとりまとめ」
(久留米大学御井学舎1000号館 1051教室)
終了

  10月24日(土)久留米
時間 内容 講師
10:00

プログラム⑤フィールドワーク
「久留米絣の本物に触れる」
(久留米絣工房「藍生庵」)
江藤智佐子
12:00 プログラム⑥産地体験
「久留米の農業を知る」
(右田果樹園)
13:10



15:20
プログラム⑥産地体験
「酒蔵のまち、巨峰発祥の地としての久留米に触れる」
(紅乙女酒造、巨峰ワイナリー)
久留米産地調査 終了

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